蝶の天敵は太陽『チョウと温暖化、羽に隠された生存の鍵』2020年9月25日 17:32  発信地:パリ/フランス。AFP。

チョウと温暖化、羽に隠された生存の鍵

2020年9月25日 17:32 

発信地:パリ/フランス [ フランス ヨーロッパ ]

https://www.afpbb.com/articles/-/3306446?cx_part=top_latest

【9月25日 AFP】地球温暖化が進行する中、チョウの羽が太陽光の熱を吸収・反射する能力は、その生死を左右し得るとする英国の研究結果が24日、発表された。研究は庭や公園、農場など、日陰が多く、チョウが涼を取ることができる場所の必要性を指摘している。

 チョウは自力で体温を保てない変温性の生物だが、研究者らによると、体温調節能力はチョウの種によって大きく異なるという。そして調節能力の低い種の生存は、日陰の「微気候(狭い範囲の気候)」の中で太陽の直射熱を回避できるかどうかに依存している場合が多いことが、今回の研究で明らかになった。

 論文の筆頭著者で、英ケンブリッジ大学University of Cambridge)動物学部のアンドルー・ブレイドン(Andrew Bladon)氏は、こうした体温調節能力の低いチョウが「気候変動や生息地の消失から最も打撃を受ける可能性が高い」と指摘した。

■色鮮やかなチョウの個体数減少

 研究チームによると、そうしたチョウが頼りにしていた涼しい場所は生息地の消失や断片化によって失われ、それにより英国のチョウの種の3分の2で個体数が減少しているという。

 さまざまな種のチョウが気温の変化にどう対処しているかを測定するために、研究チームは2009年4~9月と2018年5~9月に実施した月次調査で英国内の複数の調査地をくまなく探索し、野生のチョウ29種4000匹を標本として捕獲。個々のチョウの行動を記録した後、厚さ0.25ミリの超小型温度計で体温を測定した。

 調査の結果、オオモンシロチョウやヤマキチョウの仲間のように比較的大型で体色が淡色系の種は、体温をよりうまく調節できることが分かった。体温を適切に維持するために、羽の角度を調整して太陽光の熱を反射し、体に当てたり、体からそらしたりできるからだ。

 研究チームによると、淡色系のチョウの個体数は、安定しているか増加しているという。

 だが、羽が比較的小さく、より色鮮やかな種、特に日陰で涼を取る「温度のスペシャリスト(適応範囲が狭い種)」といえるチョウの間では、状況はそれほど楽観視できないことを研究チームは発見した。

 英科学誌「ジャーナル・オブ・アニマル・エコロジー(Journal of Animal Ecology)」に掲載された論文によると、ベニシジミなどこのグループに含まれる種は、過去40年間で個体数の減少がより急減に進んでいるという。

■餌の変化と不安材料

 一方、昆虫保護研究の専門誌「ジャーナル・オブ・インセクト・コンサベーション(Journal of Insect Conservation)」には24日、チョウに関するもう一つの研究が発表された。

 米ミシガン大学(University of Michigan)のチームによるこの研究では、予測される気温上昇が起きた場合、北米を生息地とするオオカバマダラの羽の形状が変化し、毎年行う「渡り」が妨げられる可能性があることが発見された。

 研究チームは、オオカバマダラの幼虫を気温25度と28度の環境で飼育し、3種類のトウワタ(一般的なトウワタと沼地系およびと熱帯系)を餌として与えた。

 トウワタはどれもステロイドの一種、カルデノライドを含んでいる。このカルデノライドは、オオカバマダラの幼虫の体内に蓄積され、防御物質として捕食者からオオカバマダラを守ったり、寄生生物に対して抗生剤として作用したりする。カルデノライドの含有量は、トウワタの中でも気温温暖化で増殖している熱帯系の種ほど多い。

 今回の研究で、幼虫のときにより暖かい気候で育ったオオカバマダラは、「渡り」の期間と飛行距離がそろって短くなっていた。一方、一定の距離に消耗するエネルギーは増えていた。

 さらにカルデノライドを豊富に含む熱帯系のトウワタを餌として育ったオオカバマダラの羽は、より前後が短く幅が広かった。研究者らによるとこうした丸みを帯びた羽は、細長い羽よりも長距離飛行時の効率が悪いという。

 論文によると、オオカバマダラの個体数はここ数十年で「激減」している。北米東部を移動する東部個体群では約80%、西部個体群では1980年代以降で99%も減少している。(c)AFP/Kelly MACNAMARA