映画『遠すぎた橋 / A Bridge Too Far』(1977)。観ていて言葉を失う。現代では制作不可能! 映画そのものが博物館。

あまりの迫力と緻密な構成、問答無用の悲惨な結末に私は言葉を失った。これこそ映画だ! 観るべきです!

※金の掛け方が半端じゃない。湯水の如く金を使う。ばりばりの現地ロケで当時もんの飛行機や戦車がばんばん出てきて当時のルートを走りまくる(全機がそれではないですが)。一瞬たりとも気が抜けない。背後に出てくる種々のものがいちいち本物なのです。映画そのものが博物館なのである。主役の会話なんかほっといて、その背景を見るだけでもとんでもない価値があるわけです。

空挺部隊降下シーンなんてこんなの二度と撮れないですよ。もちろん本物です。

※またいちいち装備が細かいのだ。第二次大戦中の落下傘降下なんて『鷲は舞い降りた』のリーアム・デブリン降下シーンと『ちょっとピンボケ』のロバート・キャパ降下シーンしか知りませんでしたがそれらが腰の下に数メートル長の紐をつけ重りを提げて地面に着く直前にそれが先に降りて落下を知らせる、というのを文章で読んでましたがそのリアルな光景が初めて浮かんだ。これは大変だ! 撮影だけで命がけですよ。

※負け戦のマーケット・ガーデン作戦です。立案者の甘い見通しで連合軍は手痛いしっぺ返しを食う。パリ解放の余裕から笑顔で出立したショーン・コネリーはいきなり待ち伏せに遭い表情が一変する。あとは死に次ぐ死。全滅である。

※若い子に希望を持たせるみたいな配慮は当時の映画らしく一切ない。期待できそうな子は死ぬ。冒頭で出てきた未来を担いそうな少年はスピットファイアに元気に手を振ってたのに呆気なく死ぬ。戦場に横笛を持ち込んで吹いてた青年は手首から先を失う。綺麗な街は瓦礫に変わり果てる。スマートで美形な青年ほど肉塊に変わり果てるのだ。

※こんな深刻な映画を多くの人々の協力のもとに3時間もの大作に仕上げるとか現代では不可能な作業です。しかし実にこれこそが映画なのですよ(事実ベースでありアドバイザや撮影関係者にこの実戦に参加した兵士がごろごろいる。クレディビリティが異様に高い。誰が見てもパーフェクトなんだ(撮影の段階でパーフェクトが保証される)。いまの、コミック原作をCGやアニメで起こしてるのは映画じゃなくテレビマンガです)。