ドコモ口座、15行なお稼働 被害額2000万円に拡大 サービス継続に強まる批判 2020年9月11日 20:46 (2020年9月12日 5:39 更新)。

ドコモ口座、15行なお稼働 被害額2000万円に拡大

サービス継続に強まる批判

2020年9月11日 20:46 (2020年9月12日 5:39 更新)

https://r.nikkei.com/article/DGXMZO63751340R10C20A9EA4000?s=5

NTTドコモの電子決済サービス「ドコモ口座」を使った預金の不正引き出し問題が混迷している。なお十数行の銀行でドコモ口座を利用できるため、預金の不正引き出しが起きるリスクがある。被害額は11日時点で約2000万円に拡大した。ドコモはサービス継続の姿勢を崩していないが、預金者保護の観点から専門家などからは批判の声が強まっている。

「サービスを全面停止しなかったのは驚きだ」。11日、ドコモの競合の通信大手幹部はこう話した。ドコモは10日の記者会見で謝罪し対策も公表したが、ドコモ口座の全面停止は見送った。

ドコモ口座で取引している地銀など35行について、新規登録は全行で停止し、新規のなりすましはひとまず防いだ。しかし、うち15行(12日午前0時時点)は既存の登録者が引き続きドコモ口座を利用できるため、不正引き出しなどの被害にあう可能性がある。

ドコモは11日、被害が12行73件、総額で約1990万円に増えたことをと明らかにした。中国銀行が約500万円、大垣共立銀行が約180万円の被害にあったとそれぞれ発表し、詳細も明らかになりつつある。

不正の手口は明らかになっていないが、捜査関係者によると、被害者の大半はドコモの携帯電話サービスを利用していなかった。被害が拡大するなか、サービスを全面停止しないドコモに対し批判が強まっている。

「被害をおそれる人はこまめに通帳記入するか、ネットバンキングで残高を確認し続けるしかない。ドコモは(問題のサービスを)すべて停止すべきだ」。企業のセキュリティー対策を支援するS&J(東京・港)の三輪信雄社長は指摘する。

ドコモがドコモ口座を全面停止しないのは、「1日に約1万3000件の取引がある。既存顧客のサービスを止めると影響が大きい」(ドコモの丸山誠治副社長)と考えるからだ。携帯料金の値下げ圧力が強まるドコモにとって、ドコモ口座を使ったサービスは今後の成長に欠かせない。

ドコモは個別で各銀行と交渉し、ドコモ口座を使ったサービスを停止するかどうかを協議している。サービスが全面停止にならないのは銀行側の思惑もあるとみられる。

関係者によると、セキュリティー対策が万全との理由でドコモ口座の停止に同意しない銀行もあるという。銀行口座からドコモ口座に入金されると、銀行は手数料収入を得られる。ドコモ、銀行の双方にサービスを続けたい理由はある。

消費者にしてみれば、「(ドコモと銀行が)本人確認を巡って責任を押しつけ合う形にみえる」。セキュリティー会社、トライコーダ(東京・港)の上野宣社長はこう話す。ドコモのセキュリティー強化策は1カ月程度かかる見通し。不正利用が起こりかねない仕組みを野放しにしておけば、さらに被害が拡大する可能性がある。