ああこれは。北海道の救済は無理なんだ。公共交通機関の期待できない世界。80km先の都会へ行くのに3380円2泊3日コース。

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北海道十勝支庁広尾郡広尾町です。

1984年に初めて北海道ツーリングに行ったとき。反時計回りに海岸線を走り出して最初に「こりゃ北海道だ」と感じたのが広尾町だった。それまで本州と似たような感覚だった。苫小牧郊外のバス停に寝起きし水筒の水で顔を洗う。セイコーマートでパンを買い腹に詰めて牧場続く日高の海岸を走る。襟裳岬を過ぎ潮を被る黄金道路を過ぎ、毎日曇りで毎日雨で天気は最悪でお腹の調子も悪くなりひたすら駅のある地点を目指す。当時道の駅は存在しなかった。濡れ合羽を脱ぎたくなってたどり着いたのが広尾線の終着駅広尾駅である(大樹駅かな?同じ広尾線の。その辺ちょっと曖昧)。

掘建て小屋に近いトイレに飛び込んで前をみると木の壁にボールペンで小さい字で強く刻んである「あなたが好きだから広尾に来たんです・・」!?

旅する女性の別れた男性へのなんらかの追慕がトイレの壁に深々と書いてあるのである(結構な長文でした)

まさかこんなとこで踏ん張りながら書くこともないだろうと思うのだが興味深いものを見てしまいました。まるで1980年頃の中島みゆきの歌詞である。

用を足した私はカメラを持って戻り「面白えなこれ」とその文言を記録したのである。

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で。

20歳前後の女性がそんなふうに周遊券等を使って気楽に旅する先じゃなくなってしまいましたね広尾は。昔は広尾線上に愛国駅幸福駅と並んで存在していてげんを担ぐ旅行者が幸せ行きの切符を買いに来たりしてたわけです。しかしそんなの期待できるのは年に1回。1ヶ月。あとは誰も乗らない。空疎な路線の維持となる。本当は人は何人も乗るのですよ? でも数人じゃカウント外である。線路はとっくになくなってしまいその代替を担うのが路線バスである。

JR北海道のバス路線を検索してみて驚いた。広尾発のバスが向かう先は何故か日高を越えて札幌。何かをしたいとき人は180km離れた札幌を目指すことになる。

最短の位置にある都市=帯広は完全無視されているのです。

十勝支庁なのにですよ? 地域の大学として帯広畜産大学があるのにですよ(この辺の高校生が真っ当に国立大学を目指すとしたらこの大学となる)? これでは同世代との付き合いなどできない。コミュニティ的な横のつながりなんて期待できない世界になってしまった。

では帯広行きの交通機関はあるのか。そっちを担うのは十勝バス。この路線バスは管内のみで終止する。そしてその値段をみてさらに驚く。

広尾〜帯広駅の往復乗車券は3380円。3日間有効。帯広に行ったら泊まりとして使うのだ。

広尾〜帯広間は距離としてわずか80km。野木町〜東京間と大差ない(野木〜東京間はもうちょっとだけ小さい)。これは首都圏では一般の通勤通学経路です。しかし北海道では泊まりがけの数日コースなんだ。

これでは高校生はバイクでもなかったら広尾という地域に縛られてしまう。広尾から気楽に出られない。JR北海道が北海道東日本パスを発行しても青春18きっぷを用意しても北海道の高校生は使えない。彼らにおいては何それという感じだ(※地域に高収益の高校生向けアルバイトがあるように思えない)。そして一度遠距離行きのバスに乗ったらもう二度と故郷へは帰らない。

こんなの高校生の時点から刷り込まれたら明るい未来なんて期待できないのだ。

※ 出たらもう帰らない、の繰り返しと思われます。地域に学校があっても卒業生は3月中にいなくなりそれから5年経っても10年経っても戻らない。子供たちは先輩のそんな姿ばかりみていく。若い子はいなくなるのが普通なんだ。もちろん大袈裟な話でなく線路消失とともに廃村になったところは全道の至るところにある。そこで中学高校をすごす人々の心の有り様は如何程だろう! アフリカの子たちより米国黒人暴動者より中国の洪水地域より深く彼らの日々を考えるのだ。

※ 広尾〜札幌間の料金みてびっくり。4720円。片道です。

※ こうなるともう、一度家を出たら金が貯まるまで帰れない。都内で何がなんでも稼がなくちゃならない。アパートなくしてネットカフェ難民と言われてもホームレスに近くなっても戻ることは不可能なんだ。広尾はまだいい。故郷のないひとは大勢いるのである。

新京成線の北習志野チャルメラである。彼は北海道の炭鉱町から上京したのである。この話を知ってるのは TERUBO と HIRAKOCHI しかいないのだが今やっと彼の理由がわかった。習志野の公園に巨大な地下迷路を作り乞食(おもらいさん)の帝王を称した。10人のホームレスを率いて乞食帝国を作り上げたのだ。もちろん違法である。チャルメラはああするしかなかったのである。