キャベツがあるのでお好み焼きを作る。うまい。あの伝説のお好み焼きについて。

最初にお好み焼きを食べた日のことを私は鮮明に憶えている。
小学生の時分である。近所に住むのりちゃんのお嫁さんがパックに入れて持ってきてくれたのだ。
ホットケーキのような生地の中に野菜がぎっちり詰まってる。何なの?と母に聞くと「お好み焼きって言うんだって!」と間接話法で答える。母も食べたことないらしいのだ。
実はまがいものである。かつお節もおたふくソースも塗ってない。甘辛い味がしない。どうやらのりちゃんのお嫁さんも噂だけ聞いて想像で作ってみたものらしいのだ。もちろんこれは大人になって気付いたことである。
私たちの子供の頃は旅行自体一大イベントである。大阪に行ってきたなんてときは両手いっぱいに手土産をかかえ近所の数軒に配ってくるようなそんな時代なんだ。もちろんまともな料理本も限られてるような時代である。
さて。
お好み焼きである。野菜の入った重曹抜きのパンケーキである。これには網目のようにケチャップとマヨネーズがかかってた。いまでいうピザのような華やかな見た目だ。
ピザのように放射状に切り分ける。
食べるとうまい!美味いのだ!
醤油で煮染めた食べ物ばかりの時代にそれは鮮烈な美味さだった。
もう実家では定番になった。毎月のようにお好み焼きである。
毎月のようにケチャップとマヨネーズである。

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まさかソースで食べるなんて全然そんなの知らなかった。
高校時代に弁当を持参する。たまにお好み焼きである。私がケチャップとマヨネーズかけてると「お前それお好み焼きって言わねえよ」周囲が囃し立てるのだ。
そのたび不思議に思う。大人になってソースまみれのお好み焼き食べてさらに奇妙に思ったのだ。
これでは焼きそばと変わらないのではないか。焼きそばをパンケーキに変えただけである。
私はいまでもお好み焼きにはケチャップとマヨネーズ一本である。