心底うらやましい。ヤマハ、NVIDIAと協業し自律動作の農作業車/ヘリ/ボートなどを開発へ 佐藤 岳大 2018年9月13日 12:40。

ヤマハNVIDIAと協業し自律動作の農作業車/ヘリ/ボートなどを開発へ
佐藤 岳大
2018年9月13日 12:40
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1142755.html

 ヤマハ発動機株式会社は、同社の研究開発中の製品群に関連し、米NVIDIAとの協業を発表した。

 ヤマハ発動機では、次世代製品群の開発プラットフォームとして、NVIDIAの自律動作マシン開発環境「ISAACロボティクスプラットフォーム」と、同用途のための組み込み向けコンピュータ「Jetson AGX Xavier」を採用する。

 具体的には、運搬や収穫、観察や剪枝などが行なえる「無人農業用車両(UGV)」、ゴルフカーをベースとした「電動小型低速車両」、産業用ロボット/ドローンなどの開発に、ISAACおよびXavierを利用する。

 ヤマハ発動機株式会社 先進技術本部 研究開発統括部長の村松啓且氏は、同社が成長戦略のなかでロボティクス技術の応用・拡大を掲げていることを挙げ、今回の協業はその取り組みの大きな1つであるとした。
ヤマハ発動機の事業
成長戦略でロボティクス技術の応用・拡大を掲げている

 まず、最初に市場投入を予定しているのが「無人農業用車両(UGV)」で、これまでに培ってきたオフロード走行のノウハウを活かし、小型軽量かつ走破性に優れた製品を目指す。

 そのほか、長時間可動可能な動力源、AIによる高度な周辺認知行動判断を実現する。

 現在の国内農業従事者の平均年齢は66.6歳と高齢化の一途を辿っており、人口も2010年から30%以上減少している。そのため、農作業の自動化は重要なロボティクス市場であると考えていると語った。

 加えて、公道を走行する自動運転車と異なり、法整備を待たず投入できることから、早ければ2020年にも製品化するとした。

 2つ目は「電動小型低速車両(PPM)」で、同社が国内外で高いシェアを獲得しているゴルフカーの車体をベースに、低速な自動走行車を開発するという。

 自動運転車の技術を活用し、おもに観光地や過疎地、都市部などで、いわゆる“ラストワンマイルビークル”として、新たな交通手段の社会実装を目指す。

 車両は、高品質と高信頼性のほか、価格面も配慮したプラットフォーム開発を想定。自動運転車と同様に、高度な自律化技術を投入し、配車サービスも、AIを核に需要予測に基づいた最適な運行システムを構築したいとした。

 無人用ヘリコプター/ドローンについては、すでに同社では農薬散布用などの産業用ヘリのノウハウを抱えており、それによって新たに開発する無人航空機による物流/搬送システムを提供する。労働力不足や労働環境の改善、物流効率化などの課題解決に貢献したいという。

 200kmという長時間の航続距離、建材なども運搬できる数十kgのペイロード、高い信頼性と耐久性を実現し、現行よりもさらに適応力の高い自律航行技術の開発を目指す。

 もっとも大きな事業である二輪自動車についても、安全分野でロボティクスを活用。高速走行時など、極限領域の評価を人間のドライバーではなくロボットが代行することで、危険を回避するための技術開発を促進するという。

 具体的には、車両運動力学と電子制御技術の融合、操作量と車両挙動の関係可視化、機械学習によるマシン性能の限界判断能力の実装などを目指す。
無人農業用車両(UGV)
電動小型低速車両(PPM)
産業用無人ヘリコプター/ドローン
より安全な二輪自動車の実現

 そのほか、将来的には無人小型艦測艇による測量/警備、産業用ロボットのプログラムレス化など、多彩な製品群の提供を目指す。

 村松氏は、自律動作マシンの開発には、従来型開発の数十倍のリソースが必要と考えていると述べ、そのために、いかに汎用的かつ共通化された開発基盤で、開発を効率化するかが重要だと考えていると説明。

 だからこそ、GPU垂直統合された開発環境があるNVIDIAと協業したと語った。同社のエコシステムを活用して、製品開発を行なっていくのが協業の1番の目的だという。

 同氏は、自律動作マシンの開発においては、1社だけで行えるものではないとして、コア技術は専有できないと考えていると述べ、むしろプラットフォームに早い段階で参加して、より高度なものとするほうが重要だとし、その上で、開発したアプリを独自の製品に適用することが、競合他社との競争の軸になるとの考えを示した。
陸海空や屋内外を問わないフィールドで製品を投入。産業用ロボットも
協業によって、あらゆる製品に展開可能な、万能型の知能化プラットフォーム構築を目指す

 エヌビディア合同会社 インダストリー事業部 事業部長の斉藤弘樹氏は、現在のAI環境開発について、畳み込みや再帰型、GAN、強化学習といったように、ネットーワークのデザインが多様化しており、ネットワークそのものも、2012年の画像認識ネットワークであるAlexNetと比較して、2016年に登場したInception-V4では、35倍も複雑なネットワークになっていると述べ、学習(ラーニング)だけでなく、推論(インファレンス)処理でも高性能なハードが必要になっていると説明。
左からヤマハ発動機株式会社 先進技術本部 研究開発統括部長 村松啓且氏、エヌビディア合同会社 インダストリー事業部 事業部長 斉藤弘樹氏
NVIDIAのAIプラットフォーム
推論処理も複雑化
インテリジェントマシンの増大

 同社では、そういった需要に対応した、自律動作マシンのためのコンピュータ「Jetson AGX Xavier」を提供しているとした。

 Jetson AGX Xavierは512基のVolta CUDAコア、8コアCPUを搭載し、最大30Wの消費電力で、30 DL TOPS(秒間30兆回の深層学習演算)を実現。前モデルとなるJetson TX2と比較して、深層学習演算で22倍、CUDAで8倍、CPUで2倍、DRAMバス幅で2.4倍、コーデックで4倍の性能となり、2年で20倍の性能向上を達成したとアピールした。

 すでに国内でも開発者キットの提供が開始されている。
Jetson AGX Xavier
Jetson TX2比で深層学習性能は22倍、CUDA性能が8倍、CPU性能は2倍に
開発者キットも国内提供済み

 ISAACロボティクスプラットフォームについては、シミュレータとGEMSと称するライブラリの組み合わせであると説明。

 実際の利用環境を再現したシミュレータを利用してトレーニングを行ない、実際のロボットにJetsonなどを実装することで開発を高速化できるとした。

 GEMSは、マシン開発を高速化するためのライブラリ群で、骨格検出やジェスチャー検知、顔認識/トラッキング、言語認識、視線追跡、奥行き、ビジュアルオドメトリといったアプリが用意される。