エミレーツ航空の無料ワイン、飲めばドバイで逮捕も? 8/20(月) 12:00配信 Forbes JAPAN

エミレーツ航空の無料ワイン、飲めばドバイで逮捕も?
8/20(月) 12:00配信
Forbes JAPAN
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アラブ首長国連邦UAE)のエミレーツ航空は、世界の航空会社ランキングの常連であり、世界で最も多くエアバスA380型大型航空機を所有している。同社のフライトでは、ファーストクラスはもちろん、エコノミークラスでもワインやビールなどを無料で楽しめる。しかし、先月に同社のフライトを利用したスウェーデン人の歯科医師と4歳の娘がドバイで拘束されたのは、エミレーツ航空が提供する無料のワインが原因だったのだろうか?

ドバイは、高級品ショッピングやスキーのできるショッピングモール、娯楽エリア、超高層タワーのブルジュ・ハリファ、ドバイモールの噴水などで有名な観光地だ。ドバイ国際空港の離着陸乗客数は8800万人で、世界で最も国際便利用者数の多い空港ともなっている。しかし、UAEではアルコールが厳しく規制されているということはあまり知られていない。

英国在住の歯科医師エリー・ホルマンは7月13日、UAEでの5日間の旅行のために娘とロンドンから飛び立った。だがドバイで飛行機を降りると、入国審査官から査証に不備があると指摘され、飲酒したかどうかを問い詰められた。ホルマンは、エミレーツ航空機内で無料のワインを1杯飲んだことを認めた。

ホルマンはこの際のやり取りを動画に撮影したが、それが犯罪であることを知らなかったと主張。また、ドバイでは飲酒が違法であることも理解していなかったという。報道によると、ホルマンは血中アルコール濃度測定を受け、結果は0.04%だった。これは、米国での酒気帯び運転の基準値0.08%の半分だ。ホルマンと娘のビビはすぐに拘束され、パスポートと携帯電話を没収された。

報道によると、親子は当初、食事や水を与えられず、トイレの利用も許されなかった。その後は最終的に3日間にわたって小さな留置室に拘束されたという。ホルマンのパートナーで娘の父親である男性は、丸1日以上2人の行方が分からずにいた。その後、2人の居場所を突き止めた男性は即座にUAEに向かい、娘を連れ帰った。

ホルマンは留置場から出されたものの、1カ月近くのUAE滞在を余儀なくされた。嫌疑を晴らすための法的費用は4万ドル(約440万円)以上に上り、家族の預金は底をついたという。ホルマンは裁判のため1年にわたり出国できない恐れがあったが、英・豪メディアの報道が白熱したことなどにより、政府はホルマンを解放することに決め、彼女はついに先日英国に帰国した。

「観光客でも、血中にアルコールがあれば違法」

ホルマンの代理を務めた非政府組織ディテインド・イン・ドバイ(Detained in Dubai)のラダ・スターリン最高経営責任者(CEO)は「UAEは、観光客の飲酒は完全に合法であるという誤解を生む姿勢をわざと装っている」と指摘する。「どのような観光客であっても、血中にアルコールがあればそれは完全に違法行為。それがたとえ、地元ドバイの航空会社によって機内で提供された酒であったとしてもだ」

ディテインド・イン・ドバイは、国内外の法律事務所と連携し、アルコールや薬物に関する罪に問われた人々や、性的暴行の被害者、同国で違法とされる同性愛行為の疑いをかけられた人などを支援している。

フォーブスはエミレーツ航空に対し4回コメントを求めたが、いずれも返答はなかった。ドバイ司法当局の発表によると、ホルマンは「入国審査でののしり言葉を使い、政府役人を撮影した」容疑を掛けられたが、ドバイ検察当局は最終的にホルマンを訴追せず、強制送還することを決めた。

ドバイ当局の発表では、ホルマンがワインを飲んだことについては全く言及されていない。それでも飲酒に関しては、同国の厳格な法律と、国を代表する航空会社が無料でアルコールを振る舞っている事実との間には、大きな乖離があるように思える。

英政府は、UAEの状況について次のように勧告している。「非居住者がアルコールのライセンスを得ることはできないが、観光客や訪問者はライセンスを持つホテルやレストラン、クラブなどの場所でアルコールを購入し、飲むことができる。しかしUAEの法律では、公共の場での飲酒や酩酊は刑罰の対象になること認識すること。英国市民も過去にこの法律により逮捕・起訴されている。

多くの場合、秩序を乱す行動や無礼な振る舞いといった関連犯罪行為などで警察の目に留まった際にこうした事態に発展する。酒に酔った状態で乗り継ぎのためUAEを通過する乗客も、同様に逮捕される可能性がある」

偶然にも、エミレーツ航空はつい最近、同社史上最大級というセールを実施した。しかし、ファーストクラスで同社のビンテージワインコレクションから10年もののボルドーを楽しむ際には、ドバイ到着前にアルコールが体を抜けるように十分な時間を残しておいた方が良いかもしれない。

ディテインド・イン・ドバイのスターリングCEOは英紙サンに対し「UAEで飲酒が違法なら、乗客にアルコールを提供する航空会社は共犯となり、その行動に責任を持つ必要がある」と語った。「近いうちに、乗客が逮捕による損害と損失の賠償を求めて、航空会社を訴えるようになるだろう」

Michael Goldstein