「ねんおしゃちえぶくとうばしめ」とは。乗り物に乗るとはどういうことだったか。製造者責任とは。

バイクに乗るときに最初に覚えることはこの呪文でした「ねんおしゃちえぶくとうばしめ」。漢字表記すると「燃オ車チエブク灯バ締め」。乗車前点検作業の内容です。

燃料、オイル、車軸(前後車軸)、チェーン、エンジン、ブレーキ、クラッチ、灯火類、バッテリ、各所の増し締め。走り出す前に全体をひとまわりしながら各所の様子を確認する。その確認を終えてから走り出す。

バイクに乗ってアクセルを開けると走り出すことは当然・・というのは、完調なバイクに乗っているからです。

その状態が確立されているかを確認する作業が乗車前点検作業となります。

当時のバイクは常時完調であることが保証されていなかった。それを完調に維持することが運転手の責任だった。運転手は乗車しアクセルを開けることだけが作業内容なのではない。そのシステムの維持まで含めて運転能力が問われることになる。

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いまでは聞かない言葉です。

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1986年前後に、乗り物に関する革命的な品質保証が可能となり、それ以降はキーを差し込んでひねるだけで一定の性能が保証されるようになった。バイクの構造も変わった。分解を前提としない、入れ子構造のように部品を差し込みねじ等で締め上げるファームな形状が当たり前になった。マス(重量物)の集中化とか行われるようになった。

それ以前のバイクは分解が前提だった。毎週のようにばらす。ばらすこと前提である。スパナ一本でシートからタンクから外れてストリップ状態になり(この間40秒)ドライバでキャブの各所を調整でき、ダイアフラム(負圧式キャブで負圧により調整されるゴム幕)まで引っ張り出される。エアクリーナもプラグも簡単に外れる。オイル交換が不要ならある程度いじっても15分も要しない。

これらがメインであった。車体はマスの集中化よりメンテのオープン化が重視されていた。メンテは所有者の責任だった。

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責任はいまは製造者にまで遡られる。所有者のメンテの概念が不在となり責任は遡及され問われる。

自動運転はこの判断を運転手の運転責任上で転嫁するものである。製造者責任を負うかどうかが(「我が社のシステムであれば我が社が責任を負う」等)自動運転の最大の課題である。