清瀬市旭が丘団地はそんなにいいのか『UR都市機構 映画監督・是枝裕和『海よりもまだ深く』インタビュー』。周囲が1000万円〜4000万円の価格の中、340万円。

UR都市機構 映画監督・是枝裕和海よりもまだ深く』インタビュー
http://www.ur-net.go.jp/publication/web-urpress45/interview.html
団地暮らしのエピソードをふんだんに盛り込んで
この映画では、団地の生活がちゃんと見えないと、そこにある面白さや孤独感も伝わらないと思い、団地生活者の目線で撮ることにすごくこだわりました。

実際に暮らしていた旭が丘団地の1室で、いかにして豊かに暮らそうとしていたかを思い出しつつ、目の前にいる阿部寛さんや樹木希林さん、真木よう子さんをどう動かしたらこの空間が魅力的に見えるかを考えながら撮りました。

狭くて撮影しにくいのでは、と思うかもしれませんが、実はそうでもないんです。ドアがないので、人物の後ろに奥の部屋の仏壇がぼやけながら写り込むことが重要だったり、その狭さが逆に絵にしやすかったりするんですね。

映画のなかに出てくるエピソードも、実際にあったことがほとんどです。たとえば外出するときに鍵をどこに置くか。うちの母親は使わなくなった牛乳瓶受けに入れていたので、それを映画で使いました。それか、ドアの新聞受けの中にひもで吊るしておくか、新聞受けの天井にガムテープで貼っておくか(笑)。いま考えると危ないんだけど、昔は大丈夫だったんですよね。

お風呂にもこだわりました。たまに母の所に帰ると、「寝るだけだから、もういい」って言うのに、母親が風呂場に行ってガチャコンガチャコンって点火を始めるんですよ。それをどうしてもやりたくて、リニューアルされる前の部屋の古い浴槽を探しだして使いました。

台風の夜、公園の滑り台の下でお菓子を食べたのも事実ですし、阿部さんのセリフで「子どものときに登った」と言う給水塔も、実際にあったものです。

台風が来る夜、樹木希林さんが窓からなんだか楽しげに外を見ているのも、母親の記憶です。その前に住んでいたのが屋根が飛びそうな家だったので、引っ越した夜に「もう台風が来ても安心だね」って。そこまでなら普通の人なんだけど、「台風来ないかな、台風大好き」って(笑)。よほど、うれしかったんでしょうね。

思い返すと、当時の団地は、子どもにとっては最高でしたね。旭が丘団地に越す前の家は学校から遠かったから、下校した後に遊ぶ友達がいなかったんです。でも、団地に越したら周りじゅう子どもだし、芝生で野球はできるし、自転車も乗り放題。遊ぶことには事欠かなくて、ほんとうに楽しかったですね。
団地暮らしのエピソードをふんだんに盛り込んで映画の中で、台風の夜を過ごすタコの滑り台。
団地暮らしはアイデンティティーの一部
映画の内容自体はフィクションですが、そこには僕が20年団地に暮らし、離れてからも持っている郷愁や後悔など、さまざまな感情が詰まっています。団地ではいちばん多感な時期を過ごしていますし、その風景や記憶が原風景として完全にすりこまれていて、僕のアイデンティティーの一部になっている。そういう意味では、僕の非常にパーソナルな部分が反映された映画です。

この映画は僕がいちばん見たいし、愛している。僕にしか撮れない映画であることは、間違いないと思っています。

団地は、はたから見るととても人工的に見えるかもしれませんが、思い出される情景はすごく豊潤(ほうじゅん)です。友達と語り合った遊歩道やベンチ、駐輪場や階段の踊り場、ベランダから見える風景……公園の滑り台だけでも、いくらでも語れます。両親の遺影に使っている写真も、団地の公園で撮ったものです。そうした、僕をつくってくれた一つ一つへの感謝の気持ちを込めて、大切に撮りました。

この映画を見ていただければ、団地に住んでいる人や、かつて住んだ人は、「そうそう、団地の暮らしって、こういう面白さがあったよな」「自分もこんなことしたな」と、それぞれが自分のなかにある団地経験を蘇らせてもらえるのではないでしょうか。また、団地暮らしをしていない人は、自分の故郷に置き換えながら見ることができると思います。そういうエピソードをふんだんに盛り込んだつもりなので、そのへんもぜひ楽しんでいただければうれしいですね。

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価格 340万円
管理費等 7,400円
修繕積立金 14,200円
交通
西武池袋線 清瀬駅 バス10分 団地交番前下車 徒歩3分
所在地
東京都清瀬市旭が丘2丁目 地図
築年月 1967年11月(築49年)
間取り 3DK ( 和室 6畳 和室 6畳 和室 4.5畳 )
主要採光面 南東
専有面積 51.61m² (壁心)
バルコニー面積 9.55m²