1970年代『キンシャサの奇跡』とその後のフォアマンのカムバックについて。

1970年代ですが。
ジョージ・フォアマンvsモハメド・アリキンシャサの一戦は『宗教戦争』と言われました。『キリスト教イスラム教の戦い』と称されたのです。
モハメド・アリは誕生時の姓名ではない。
米国オリンピック代表選手キャシアス・クレイは、プロデビュー後に米国の反主流派宗教組織であるブラック・ムスリムに入信し、長からイスラムの誇るべき個体名を付与される(アリは後に語る「モハメドムハンマド)は最高、アリも最高という意味なのだ」。もちろんこれはイスラム教の預言者とその直後の後継者を指している)。
重大な一戦。アリはそれに勝ち、フォアマンは敗れた。パワーファイターであったフォアマンはアリ側に徹底的に研究され戦略を崩されてパーフェクトにノックダウンされたのです。
物語はここで終わらない。
ボクシングを引退して伝道者の道を歩んだフォアマンは10年後にボクサーとしてカムバックする。
その時のエピソードが凄い。一般の人々の家のドアを叩き、黙々と伝道を続けていたフォアマンだが、ある日から不思議な夢にうなされるのだ。キリストが枕元に立ち、お前の力が必要だと宣う。フォアマンは言う「一体何を・・私は貴方のために伝道を続けているではないか。貴方のことを語り続けているではないか」。キリストは言う「私が欲しいのはお前だ!」
驚いて飛び起きたフォアマンの両手には血で記された十字架の刻印があった(これは持って生まれた握力の強さのゆえに、眠っている間に手のひらに爪が食い込んだものだと思う)。しかしそれを彼はキリストが再び与えたボクシングへの指令であると捉えたのだ。
その日からフォアマンはトレーニングを再開する。
老いた肉体。たるみきった腹。周囲の誰もが「健康目的のフィットネスだろ」と相手にしない。しかしアリとの戦いでパワー一辺倒を反省し省エネ型の戦略をものにしたフォアマンは順調に勝ち進み、とうとう世界チャンピオンに返り咲いてしまう。
いま考えればその意味はわかる。敗北したフォアマンが地味に伝道していてもキリスト教信者なんて増えはしない。大舞台で派手に勝利を決めることこそが信者の獲得に寄与するのだ。彼はキンシャサキリスト教信者であることを語ったのだから、同様の世界戦で敗北を償わなくてはならなかった。